【おすぎのジレンマ⑨振り返り病…振り返れば奴がいる!?】
PDCAサイクルって、みなさんご存知ですか?
そんなの当たり前だよ!って仰る方もたくさんいるかとは思いますが、まずは前提共有をさせてください。
PDCAサイクル(PDCA cycle、plan-do-check-act cycle)は、事業活動における生産管理や品質管理などの管理業務を円滑に進める手法の一つ。Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)の 4段階を繰り返すことによって、業務を継続的に改善する。
第二次世界大戦後、品質管理を構築したウォルター・シューハート、エドワーズ・デミングらが提唱した。したがって、シューハート・サイクル (Shewhart Cycle) またはデミング・ホイール (Deming Wheel) とも呼ばれる。
PDCAサイクルという名称は、サイクルを構成する次の4段階の頭文字をつなげたものである。
- Plan(計画):従来の実績や将来の予測などをもとにして業務計画を作成する。
- Do(実行):計画に沿って業務を行う。
- Check(評価):業務の実施が計画に沿っているかどうかを評価する。
- Act(改善):実施が計画に沿っていない部分を調べて改善をする。
この4段階を順次行って1周したら、最後のActを次のPDCAサイクルにつなげ、螺旋を描くように1周ごとに各段階のレベルを向上(スパイラルアップ、spiral up)させて、継続的に業務を改善する。
また、最近ではPDCAサイクルよりもOODAループも注目されています。
OODAループは、朝鮮戦争の航空戦についての洞察を基盤にして、指揮官のあるべき意思決定プロセスを分かりやすく理論化したものである。すなわち、監視(Observe)- 情勢判断(Orient)- 意思決定(Decide)- 行動(Act)のサイクルを繰り返すことによって、健全な意思決定を実現するというものであり、理論の名称は、これらの頭文字から命名されている。
さて、OODAサイクルにはありませんが、いわゆる「アクティブ(・)ラーニング」や昨今の学校改革、授業改革の流れで、学校現場に“振り返りブーム”が押し寄せています。もちろん、ワークショップにおいても振り返りの時間やリフレクションシートの活用などがされていることがあるかと思いますが、私自身物事を振り返ることはとても大切なことだと思います。
特に学校現場においてはPDCAにたとえるならば、PDサイクル、下手をしたらDoDoサイクルのような状況で、疲弊している学校も少なくありません。そのような状況下で、きちんとこれまでの計画と実行を評価(振り返り)し、改善していくことはまさに必要不可欠なことでしょう。
そして、ワークショップにおいてもその日の学びを振り返り、次につなげることは大切な学びのプロセスであると感じています。
しかし、私は学校現場及びワークショップどちらも身を置く立場として、振り返り病に冒されている人も少なからずいるのではないかと警鐘を鳴らしておきます!
実は、学校現場ではとにかく「グループワーク」、とにかく「振り返り」という場面が最近目立ちます。しかし、それまでの学習内容についての振り返りのはずが、振り返りのための振り返りになっている、つまり目的と手段が混同している場合があるのではないかなと。
また、とにかく一にも二にも振り返り…授業、行事、ことあるごとに振り返りをやらされる生徒からは「もう振り返ることなんてないよ…」「先生、振り返りがメインですか?」なんていう声が聞こえてくることもあります。
そして、それはワークショップにおいても起こることではないでしょうか?
振り返りの時間をワークショップ中に確保することは決してマストのことではありません。振り返りは帰りの電車の中であって、できることだと思います。
確かに全く振り返りもなく、ただただ内容を詰め込まれてしまってはそれも学びにはつながりにくいかもしれませんが、とにかく振り返りというのは、ワークショップの目的からズレているかもしれません。
そのようなことから、適切な振り返りのタイミング、時間、そして何より何のための振り返りなのかをきちんと設計して、ワークショップ内に組み込んでいくことが大事なんだと思います。
そして、それはワークショップだけではなく、日常生活においてもいかに自然と上手に振り返りをしていき、PDCAサイクルやODDAループを自分の身体に染み込ませることが何よりなんだと考えています。
さて、みなさんは振り返り病にかかっていませんか?
そして、振り返れば…誰がいてそこには何があるんでしょうかね?