【おすぎのジレンマ⑭グループワーク=アクティブラーニングという考えはもう捨てよう…】
「はい!じゃあ、グループになってね。」
「もちろん、私はアクティブラーニングをやっています!だって、グループワークやっていますから」
この数年で、どれだけの学校現場でこういう会話がなされたのであろうか…
アクティブラーニング…この数年、日本の学校現場を席巻したワードである。
文部科学省のHPでは→
「教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称。学修者が能動的に学修することによって、認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る。発見学習、問題解決学習、体験学習、調査学習等が含まれるが、教室内でのグループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワーク等も有効なアクティブ・ラーニングの方法である。」と定義がされています。
ただ、2016年5月9日の教育課程部会高等学校部会において「主体的・対話的で深い学び」(アクティブ・ラーニング)と示され、だいぶその「AL祭り」「ALブーム」は良くも悪くも沈静化してきているなぁという印象を受けます。
しかし、この「AL祭り」によって、日本の学校現場に一石を投じられたことは事実であり、それまでの授業に何かしらの変化をもたらされたのでないかなぁと感じています。
But!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
“グループワーク=アクティブラーニング”と考えている人が多すぎ(笑)
いや、決して間違いとはいいません。グループワークでもアクティブラーニングを促せることは間違いないですから。
でも、グループワークをやらせればアクティブラーニングになるとは大きな間違いですよね。でも、残念なことに学校現場においては、そのように考えている先生方が多いことも事実…こういう誤解が蔓延していることが残念で仕方がありません。
さて、同じことがワークショップでも起きているのかなぁというのが本日のテーマです。
もちろん、おすぎも若かりし頃はグループワークをしていればアクティブラーニングを促す近道!そんなふうに考えていたことがあります。
そういう意味で、大好きなワークショップのひとつにワールドカフェがありました。
ワールドカフェとは、
「Juanita Brown(アニータ・ブラウン)氏とDavid Isaacs(デイビッド・アイザックス)氏によって、1995年に開発・提唱されました。
当時二人が、知的資本経営に関するリーダーを自宅に招いた話し合いの場において、ゲストがリラックスしてオープンに生成的な話し合いを行えるように、様々な工夫を凝らした空間で話し合いを行った結果、創造性に富んだダイアローグを行うことができたことが始まりとなります。
その後、想像できないほど多くの知識や洞察が生まれたことに感銘を受けた二人が、その経験から主体性と創造性を高める話し合いのエッセンスを抽出してまとめたのがワールド・カフェです。「知識や知恵は、機能的な会議室の中で生まれるのではなく、人々がオープンに会話を行い、自由にネットワークを築くことのできる『カフェ』のような空間でこそ創発される」という考えに基づいた話し合いの手法です。
- 本物のカフェのようにリラックスした雰囲気の中で、テーマに集中した対話を行います。
- 自分の意見を否定されず、尊重されるという安全な場で、相手の意見を聞き、つながりを意識しながら自分の意見を伝えることにより生まれる場の一体感を味わえます。
- メンバーの組み合わせを変えながら、4~5人単位の小グループで話し合いを続けることにより、あたかも参加者全員が話し合っているような効果が得られます。
- 参加者数は12人から、1,000人以上でも実施可能です。」
(http://world-cafe.net/about/より引用)
もうワクワクしますよね!もちろん、今でも大好きなんですが、形骸化したワールドカフェってもう最悪です(泣)素敵なファシリテーターの方、素敵なテーマ、素敵な参加者、そして何より場づくりがあってこそですが、とにかくワールドカフェさえやればなんとかなると思っているようなワークショップを体験した時に、ある意味心に大きな傷を負いました。
なんというか、こうやってせっかくのワールドカフェという素敵な手法を汚して、ワールドカフェに変な誤解を生んでしまうのではないかなぁと。
そして、その時思ったんです!学校現場におけるグループワークにも同じことが言えるなと。
目的のない、とりやえずやるだけのグループワークをやらされたら、生徒にとってアクティブラーニングを促せないどころか、グループワークを嫌いになってしまう生徒も増えてしまうんだろうなと。
もちろん、何事にも言えますが、「とりあえずやる」「やっておけばいい」という感覚でやることが、どれだけ他者に対して悪影響があるかということを。
そのようなわけで、ぜひこれからワークショップにおいても授業においても、どのような場においてもきちんと目的をもって、その目的を達成させるためにグループワークやワールドカフェなどの手法を活用していけたら良いなと思います。
さて、素敵なグループワークを今後もつくれるファシリテーション力を磨いていきたいですね。