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ワークショップへのジレンマ

おたくとおすぎが杉並区にある私立高校で実践して得た知識・知恵を書いています。

【おたくのジレンマ②】あなたはエセファシリテーター?それとも熟練者?

ワークショップに参加すると、必ず参加者の前に立ち、全体をオーケストラの指揮者のようにその場を振る舞い、会場の雰囲気を作る人が1名ないし2名います。そのような方をファシリテーターと呼びます。(最近はグラフィック、イノベーション、レコーディング・ファリテーターなども浸透してますね。)

 

近年、ワークショップが日本の各地で浸透して、多くの課題、テーマに対して企画がされて、誰しもが参加できるようになり、しばしば大根役者のようなファシリテーターやただ単に時間を調整しているタイムマネージャーのような方をなんどか見たことがあります。それらの場には、成熟、未成熟(えせ)のファシリーターがおり、ワークショップのクオリティに大きな差がここ最近出てきているのではないでしょうか。

 

改めて、今回はファシリテーターというものがどんなものなのかなどを書いていきます。

 

私が始めて、「ファシリテーター」という言葉を聞いたのは7・8年前くらいに参加した外資系企業出身の方の研修でした、その時は「なんだその役割!?」聞いたこともない言葉だったのですが、その人の振る舞いは「司会者」でした。司会者と聞くと、明石家さんまさんや島田紳助さんを想像される方もいますが、僕がその時イメージしたのは、学芸会等でタイトルやイントロダクションを読み上げる人でした。

 

実際にその人もそんな感じで上記に書いてあるように会場の場を作るというより、資料をスクリーンに投影し、説明していただけなので、参加者と司会者間で相互コミュニケーションがあるわけではなく、2時間の研修が音沙汰もなく終わった印象があります。その時は司会者をファシリテーターと呼ぶんだなー、「なんか横文字でかっこいい」というくらいにしか思いませんでしたが、今となってはこの司会者は意味を間違えていたのではないかと思っています。

 

本来、ファシリーターの役割には、場を作る、意見を受け止める、整理し、絞り込む、まとめるなどがあります。現在はワークショップの書籍が幾つか発行され、認知されたこともあり、ファシリテーター養成コースも各地で増え、誰もがファシリテーターになれるようになりました。

 

またテクノロジーの発展により、ビデオコンテンツ、ゲーム、レゴなど道具を使用し、創造力、チームビルディング、チームミングを目的としたワークショップを目にする機会が増加しています。その一方で、コンテンツに頼りすぎて、映像を流して、決められた問いを参加者に問えば、ワークショップが成立すると考えているファシリテーターが増えています。

 

これらが増加したことにより、未成熟と成熟されたファシリテーターの差が顕著になっってきているような気がします。別に未成熟が悪いわけではないです。みんな最初は経験がないので。

  

おそらく、経験が乏しい方は設計したプログラムを運営することで精一杯で、タイムタグやその場の参加者の反応、動き、表情を見逃し、なんとか時間通りに進めることと、自分がやりたいことをどうしても時間内にやりたいという願望により、自己中心的なプログラムやアプローチをしがちです。ここで改めて、ワークショップの定義を見直すと 

 ワークショップとは「多様な人たちが主体的に参加し、チームの相互作用を通じて新しい創造と学習を生み出す場」と定義されています。『ワークショップ・デザイン 知をつむぐ対話の場づくり』(引用」)

 

自己中心的な振る舞いは、参加者と主体的に何かを生み出すことができにくにのではないかと思います。実際、成熟したファシリテーターはその場の参加者をよく観察し、準備していたプログラムを何事もなかったかのように変更し、1ランク上のステージにアウトプットされた意見やアイデアを促進してくれます。

 

この差はかなり大きくて、ワークショップ終了後のアンケート等をみると、実力がある人では、プログラム+その場で得た個人の気づき、全体の考えについて述べている傾向があります。一方で、未熟なファシリテーターだと、気づきではなく、感想がアンケートに書かれています。

私個人の経験ですが、感想が多くの書かれているアンケートは次のステップやアクションに進みにくいです。気づきがあれば、その場で起きたことを受け入れ、自分が何をすべきかわかっているので、未来のアクションにつながりやすくなります。ただ単に用意したプログラムを時間通り進めるのではなく、その場の状況に応じたファシリテートを追求しなくてはならないのではないでしょうか。

 

最近では誰もがファシリテーターになれるようになってきたので、その価値が下がってきているようにも思います。価値をあげるためにはその人個人の魅力、参加者に与える活力など、その人自身のパーソナリティ、スキルの向上が求められます。

ただ場を回すのでなく、その人なりに出せる価値をその場に提供してこそ、熟練したファシリテーターとしてその場で認められるのではないでしょうか。

ファシリテートすることは簡単な作業ではないし、その場の参加者からの主体的な促すだけでなく、異なる性格やスタイルを持つ個人を共通の結果に導く責任もあるので大変な作業です。

経験が少なくとも、コンテンツに頼りすぎず、適切な目的と目標を立て、それに付随するワーク、問い、参加者の性質などを想定して準備すれば、参加者はその努力を察してくれます。多くの熟練したファシリテーターは、実際のセッションを提供するのに費やす時間以上に、セッションを準備するのに約3〜4倍の時間を費やしていますので準備をして望むことをお勧めします。あと、あれもこれもという感じで詰め込みすぎると失敗するので、適度な範囲で実施しましょう。

 以下が全てではないですが、簡単な事前準備リストを記載します。

 ・ワークショップの目的・目標はなんですか?

 ・どのような成功イメージが見えていますか?

 ・当日の事前作業・準備に何が必要ですか?

 ・ワークショップの目標を達成するために現実的かつ適切な時間配分ですか?

 ・ワークショップの目標を達成するためには、どのような資料が必要ですか?

 ・参加者の層はどのような人たちですか?

 

次回はアイスブレイクをやれば場が和む?やっておけばワークショップはうまくいく?と言うのような内容を投稿します。

 

 

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