test

ワークショップへのジレンマ

おたくとおすぎが杉並区にある私立高校で実践して得た知識・知恵を書いています。

【おたくのジレンマ㉓】学びのシフトを組み込んだ年間カリキュラム

最近、オーストラリアでキャリアカウンセリングを「友達にしてあげてほしい」ということで、一人の方をきっかけに、数人ご紹介いただき、カウンセリングをする機会を何度か得ました。

おたくはキャリアカウンセリングを本業としているわけではないので、本当に的確なカウンセリングができているかわかりませんが、相談者からはどの留学カウンセラーよりも適確なフィードバック、説得力がある。という恐れ多いですが、ありがたいお言葉をいただいております。

私が行うカウンセリングでは「3年後の目的・目標」を相談者に聞いていき、その上で、どのような戦略、戦術をとっていくかを相互に理解し合いながら、進めていきます。

 

私の場合、未来は予測できるスキルはないですが、未来を予測できる人・会社はいくつもあるので、分析資料や書籍を年に1、2冊は読むように心がけ、どんなことが今後起こりうるのかを、踏まえた上で、自分のキャリアをどのように構築していけば良いのかを考えています。

じゃあいつから、こんなことを考えるようになったかというと、

よくよく考えてみると、この考え方はワークショップの年間カリキュラムの作成に近しいものと思いました。

 

ワークショップをデザインする上で、学習者や参加者が安心して学ぶことができる環境を整えてあげるための一つの手法として、年間カリキュラム・シラバスの作成があるのではないかと考えています。

 

学生時代は授業が思い通りいかない、テスト範囲まで進まないなど先生から聞いていましたが、年間カリキュラムを適切に作れていないために、そのような問題が起こってしまうのではないかと思います。もちろん大人の事情もあると思いますが・・・w

 

ワークショップの開発、運営する上では、仮説を提示したり、目的・目標を明確に定め、それに対して、関係する人々を巻き込んでいくことが準備の段階で必要になります。

 

ワークショップの年間カリキュラムのデザインは「目的の設定」から基本的に始まります。

 

基本的には

1.なぜ学ぶことが必要なのか?(学ぶ理由)

2.どんなことを学んでもらい、どう変わってもらうか?(学習者の変化)

3.どのように変化を実際の生活に導いていくか?(学びの適用・転移)

と言う3つの視点で考えていくのが基本的な構成になるのではないでしょうか。

 

例えば

1.多様な社会で生きていくためのコミュニケーションスキルが求められているため

2.社会で求められるコミュニケーション、マインドを獲得し、どこでも活躍できるようになる

3.学校生活や部活動で良質なコミュニケーションを周囲ととり、成果を出すことができる。

 

おそらく多くの人は1.2は検討しているが、3は検討できていないのではないかと思います。学んだ後に成果につながる行動ができるデザインを念頭においた上で、年間カリキュラムは考えたほうが良いのではないでしょうか。

 

年間プログラムを用意すると何が良いかというと、参加者をゆるくコントロールできるかつ、学習者に合わせて、プログラムを途中で改定することができることが良いところです。

年間のキャリア学習や授業を始める前に、学習内容、学習方法、活動内容をゆるく定めておくことで、実際の参加者の変化や課題に対して対応しやすくなるのも事実です。

 

年間カリキュラムを用意したとしてもうまくいくことは基本的にはありません、ただ年間カリキュラムがあるからこそ、うまくいくこともありますし、改善もできます。でもそれ以上に大事なのは年間カリキュラムを作成する上で、どのタイミングで「教える」から「考えさせること」へシフトさせるかはとても重要になります。

 

チームづくり講座では一回の授業でシフトを起こしていくのではく、一学期の中頃から、後半にかけて徐々にシフトしていくような取り組みをしていきます。例えば、生徒がグループを作るために生徒間で交渉、スカウトする。それに対して、評価を行う。または問だけを与え、あとは生徒に考えて行動してもらうなど、いくつもの小さな仕掛けを用意し、「考えさせるため」の行動へ持っていきます。

 

個人的にどんなに素晴らしい知識を教えたとしても、それについて考えることをしなければ、記憶や学習力と言う筋肉はつきません。

 

年間プログラムを作って満足するのではなく、学びのシフトを学習者に起こさせるタイミングを明確に見極めて、適切なタイミングで行えれば、学習者は自然と興味を持ち、最終的には本気で取り組んでくれます。

 

個人的に考える良質な年間プログラムというのは学習者を自然と主体的になり、物事に本気で取り組める時間を提供しているプログラムなのではないでしょうか。