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ワークショップへのジレンマ

おたくとおすぎが杉並区にある私立高校で実践して得た知識・知恵を書いています。

【おたくのジレンマ㉒】心をつかむためのグランドデザインはできているか?

おすぎとおたくは多くの実践家(ワークショップを事業にしている人)をお呼びし、高校生向けに貴重なお時間を提供してもらっています。

プロフェッショナル中のプロフェッショナルは生徒の心をつかみ、高校生に計り知れない好影響を与えているのを直で目にしてきました。一方で、心をつかめず、その場で大きな悔しさを持ち帰って行く人も数人見てきたのも事実です。

 

その度に普段、大人向けにプロフェッショナルとしてワークショップを実践している人が高校生以下にワークショップ実践することは難しいのか?なぜうまくいかなかったのだろう?と言う疑問を頂きます。

 

学校という枠組みで行う場合、授業時間の縛りが発生します。1コマの授業が40分、45分、50分、70分、100(50分×2)分と組み合わせは様々ですが、与えられた/達成したい目標を規定の時間内に成し遂げるのは至難技です。

なんどもその場に立っている私たちですら、授業時間内に終わらないことが未だにあります。

これは特殊な状況ですが、この授業型ワークショップを運営する上では幾つかコツがあります。

まずは「生徒の心を短時間で掴めるか」という難しさがあります。生徒は授業の一部なので、部活で疲れている、寝不足、テスト前など外的要因も含めて基本的にベスト今ディンションではありません。そのため、最初の3分~10分で「この人は学校で受けている先生の授業と比較して面白い・違う・ためになる」と思わせなければなりません。

要は「面白くて、楽しく学べる授業になりそう」と思わせる掴みが必要にあります。むしろこれができれば、ほぼ良い成果が出ています。もちろんその他にも良い要素もあります。(笑)


私たちが提供している、チーム作り講座では、幾つかの一般的なアイスブレイクを実践しているため、準備したアイスブレイクやワークが二回目の体験となり得ると思わぬ罠も潜んでいるため、最初のつかみは難しいと思います。大人であれば、空気を読んで対応してくれるのですが、若い世代となるとそうもいきません。

若い世代は二週連続同じことをすることを毛嫌いする傾向があるので、事前に直近で何を行ったか、現在どのような雰囲気なのかをヒアリングしておくことをお勧めします。

 

そのようなことを怠るとうまくいかなかったり、心をつかめなかったりします。たまに自分のスタイルが通用するかを腕試し感覚で行う人もおりますが、失敗したら終わりです。授業なので、全員の満足度が高くなるものを提供するのがプロとしての仕事だと個人的には思います。

その他には大人向けのコンテンツをそのまま若年層向けに使用するケースです。一般的な使われているコンテンツはファシリテーターに左右されるというのが個人的な結論です。良質なコンテンツを利用すれば、満足度は50~70点は取れるというのが、大人向けのものですが、その提供物が若年層となると、30点〜50点の満足度に落ちてしまうのではないかと思います。

 

そもそも、それらは高校生向けに作られていないため、そのまま提示すると、理解しにくい、高校生の言葉を借りれば「つまらない」「面白くない」「眠たくなる」と感想で述べます。提供者の視点に立ってみると、これは「理解できる内容だ」「若者のためになる」と考えている人が多いですが、実際は生徒の視点に立って考えれていない人が多いのではないでしょうか。

 

若者のマインドは火のつけ方、背中の押し方ひとつで、大きな変化を短時間で大人に見せてくれます。ワークショップをする上では、ツールという手段に頼るのではなく、その場に参加する生徒たちがどのような体験を経て、経験値を積み重ねてきているかを想定し、設計しなければなりません。つまり、グランドデザインを各層に合わせてする必要があるのです。

 

結局のところ、若年層向けにワークショップを行う際はグランドデザインをしなければうまくいきません。私たちが行っている授業では次年度が始まる半年くらい前から、

①コンセプト:目的・目標の作成

②リソース:生徒と運営の整備

③環境:使用できる教室の確保

④スケジュール:プログラムの大まかな流れ

⑤外的要因:大人の事情も含めた想定

などを検討しながら、細かな変更を加え、毎週変更、改善を加え、生徒が魅力的だと思える授業を提供できているのだと思います。

高校生向けに7〜8年と継続的に年間プログラムを作っていますが、社会の変化は目まぐるしく早いです。キャリア教育・コミュニケーションスキルなどを学ぶ場の根底にあるものはさほど変化はしていないのかなと思いますが、年々、主体性や当事者意識など求められている度合いが高くなったいるだけのようにも伺えます。

このような状況に対して、提供者としては変化を加えていかなければならないし、改良を加なければらないというスタンスは常にあります。

毎回違う生徒、違うバックグラウンド、異なる希望を持った人が参加するので基本的なベースは同じでも、異なる未来・変化する時代に対応できるものを提供していきたいと思います。

 

学校教育の場も変革(イノベーション)が必要だと言われていますが、おたくは変革というより良質な更新(アップデート)を見出せるかだと思います。学校現場には良質なものがたくさんあります。もちろんその逆も然りですが、良質なアップデートを加える活動は個人として継続していきたいです。